『世界は数字でできている』概要


『世界は数字でできている』

概要

 本書は、数字の魅力と強力さについて述べたものである。

 もしあなたが、「数字を見ると頭が痛くなる」という方であれば、本書を読んで、数字がこんなに面白いものだということを発見していただきたい。数字を使えば、見慣れた世界が新しい姿を見せてくれる。数字という鏡に映せば、実に多くのものが見えてくる。そのことを是非知っていただきたい。

「数字は無味乾燥で非人間的。世の中にはもっと高尚なことがある」とお考えの方は、まず何よりも、数字を使ったペテンにご用心。そして、論争相手に数字を使われたら太刀打ちできなくなると、覚悟していただきたい。数字を使わなければ損だと納得し、数字を敵に回すのでなく、味方にすることを考えていただきたい。そうすれば、きっと数字はあなたの味方になってくれる。

 数字の魅力と強力さにすでに気付いている方は、数字を使って観察し、考え、説得することが無限の可能性を開くことを、本書から読み取っていただきたい。

 本書を通じて強調したいのは、「文系の仕事にこそ数字が必要」ということだ。「数字を使うのは、理系の仕事」と考えている人が多いのだが、私の経験では逆だ。数字が重要な役割を果たすのは、むしろ文系の仕事である。私は工学部の大学院で実験していた時にはあまり数字を使わなかったし、「数字こそ重要」とは思わなかった。しかし、大蔵省に入ってからは、毎日数字の洪水の中にいた。そして、数字こそが誤魔化しのきかない交渉事項であり、合意は言葉ではなく数字で行われることを知った。

 私は「文系の数学」と呼びうるものがあると思っている。これは、「理系の数学」とは異なるものだ。「日本企業は技術で勝っても、ビジネスで負ける」と言われるが、私の言葉で言えば、「理系数学だけに強くて、それに方向付けを与える文系数学に弱い」のだ。日本が弱いのは、まさにここである。「成長戦略が必要」と言われる。日本経済を再興させるため、法人税減税や設備投資の増加が必要だと政府は言う。しかし、そうしたことより重要なのは、文系の数学を駆使できる人材を育成することだと、私は思う。

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