イングランド銀行

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イングランド銀行によるディジタル通貨レポート
(概要と抄訳。原文はこちら
The economics of digital currencies, Bank of England,Quarterly Blletin 2014 Q3

ディジタル通貨は、原理的には、インターネットを使える人々にとってマネーとして機能しうる。しかし、現状では、比較的少数の人々にとって限定的な意味でマネーとして機能しているに過ぎない。
個人のインセンティブの意味でもマクロ経済的な意味でも、現在のディジタル通貨は、広範な利用のためには克服すべき課題が多い。
ディジタル通貨は、。現状では、英国における金融的な安定に関して深刻なリスクをもたらすことにはならない。イングランド銀行は、この分野の発展を引き続きモニターする

デジタル通貨は、支払いシステムと通貨の新しい形という、両方の意味での革新である。
経済理論の観点からすると、デジタル通貨をマネーとと考えることができるかどうかは、価値の保存手段、交換の媒体、そして会計単位としてどこまで機能するかに依存する。ある資産がどの程度これらの役割を果たし得るかは、人によっても時代によっても異なる。
そして、仮にある資産がこのような要請を満たすとしても、法的観点や規制目的からすれば、必ずしもマネーとして認められるわけではない。
現時点では、デジタル通貨は比較的少数の人々によって使用されている。データが示唆するところでは、これらの人々は、デジタル通貨を、価値の保存手段として用いているーその価格が、大きなボラティリティを示しているにもかかわらず。そして、交換の媒体として使用されるのではない。現在では、 デジタル通貨が会計単位として使われている証拠はほとんどない。

人々がデジタル通貨を用いるインセンティブがこのようなものであることは、その広範囲な利用に対して障害となる。
デジタル通貨の最大の魅力は、低い取引手数料だ。 しかし、利用が増えるにつれて手数料は上昇する必要があるかもしれず、最終的には、現在の決済システムの料金より高くなるかもしれない。

多くのデジタル通貨は、事前に決められた供給のパスを組み込んでおり、最終的には固定な供給になる。固定されたマネーサプライは、ー前述したように広範に利用される可能性が低いこととともにーマクロ経済に害を与える可能性がある。なぜなら、財、サービス、賃金のデフレをもたらす可能性があるからだ。
さらに重要なことは、需要の変動に対してマネーサプライを変化させられないことは、価格と実物量でのボラティリティ増大をもたらすおそれがある。
なお、最終的なマネーサプライを固定することは、デジタル通貨にとってどうしても必要なことではない。

デジタル通貨はごく小規模なので、英国の金融や金融の安定に対して深刻なリスクをもたらすことはない。
ただし、デジタル通貨の利用が急増すれば、このことは変るかもしれない。。イングランド銀行は、引き続きデジタル通貨と、それがもたらすリスクをモニターする。

革新のキーは、「分散型元帳」(Distributed ledger)である。これが、分散型の非中央集権型決済システムの基礎だ。
分散型元帳方式の下では、デジタル通貨を繰り返し利用することが可能となる。
伝統的な銀行の預金システムでは、銀行がデジタル記録を保管し、それが正当なものと保証する。それに対して、デジタル通貨ではすべての取引は元帳に記録され、誰でも見ることができる。利用者は特定の期間を信頼するのではなく、ネットワークとそれを運用するルールを信頼する。

デジタル通貨の保有者数や使用者数を正確な推定するのは難しい。最も広く使われているのはビットコイン。2014年7月9日時点で、4100万アドレスが存在している。しかし、このうち残高を持つのは160万アドレスに過ぎず、残高の平均は0.001ビットコイン(0.35ポインド)に過ぎない。複数のワレットやアドレスを持つユーザーが多いので、このユーザー数推定は過大評価かもしれない。

2014年8月20日までの1か月において、ビットコイン取引の60%は中国人民元からのものだった。そのうち、32%が米ドルに向けられ、3%がユーロに向けられた。英国ポンドに対しては1.2%。
この数字から推計すると、英国でのビットコイン保有者は2万人程度。1日の取引回数は300件程度にすぎないと考えられる。

現在英国でのビットコインの流通総額は6000万ポンド以下と考えられるが、これは、紙幣とコインの0.1%以下である。そして、広義のマネーバランスであるM4の0.003%だ。

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