フリーランサー

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インターネットが変える就業の形態
-KPCBのインターネットレポート

アメリカのトップクラスのベンチャーキャピタルであるKPCB(Kleiner Perkins Caufield Byers)は、毎年発表しているMary MeekerのInternet Trendsの2015版を2015年5月27日に公表した(http://www.kpcb.com/internet-trends)。
今年の報告の特徴は、インターネットを通じて作り出されたオンラインプラットフォームと市場を利用して、フレキシブルな仕事につく人々が増加している状況を分析していることだ。以下は、その部分に関する概要の紹介である。

<フレキシブルな仕事につく人々が増加>
フリーランサーを分類すると、つぎのようになる。
(1)独立した契約者
現在アメリカに2100万人いる。40%がフリーランサーだ。
雇用主はいない。プロジェクトごとに契約し、一時的または補助的な仕事をフリーランスで行う。
(2)ムーンライターズ(夜間労働者)
現在アメリカに1400万人いる。27%がフリーランサーだ。
伝統的な職場での専門職であって、その合間にフリーランスでの仕事を行なう。
(3)複数の仕事を持つ労働者
現在アメリカに900万人いる。18%がフリーランサーだ。
伝統的な仕事とフリーランスをミックスさせ、複数収入源を持つ。
(4)一時的労働者
現在アメリカに600万人いる。10%がフリーランサーだ。
雇用主や契約者は単一。ただし、就業は一時的。
(5)自分をフリーランサーと考えるビジネスオーナー
現在アメリカに300万人いる。5%がフリーランサーだ。
1-5人の従業員を持つビジネスオーナー。

フリーランサーの意見は、つぎのとおり。
69%の人々:ソーシャルネットワーキングが、ネットワーキングのダイナミックスをドラスティクに変えた。
65%の人々:インターネットによって、仕事探しが楽になった。
42%の人々:オンラインのフリーランスプロジェクトを実施した。
31%の人々:オンラインで24時間以内に職が見つかる。

<オンラインプラットフォーム>
ebay:輸出のために従来は多額の投資を要したが、それが簡単にできる。売り手数2500万人。
Etsy:35%の売り手は多額の投資なしにビジネスを始められる。売り手数140万人。年成長率26%。
airbnb:スマートフォンだけでairbnbのホストになれる。ゲスト数は、昨年は2500万人、ことしは3500万人。
Upwork:才能のある人材を3日間程度の間で見出す。フリーランサー1000万人。5年間の平均年成長率63%。
Uber:スマートフォンを用いてUberのドライバーと客を結びつける。ドライバー・パートナーは100万人。年6倍の成長。
SoundCloud:モバイル端末を用いて作曲者が作品を数分のうちに流せる。
Thumbtack:専門職業者が3-15ドルの料金を払い、興味のある仕事を見出す。
stripe:さまざまな市場を結び付け、売り手と買い手のコーディネイションを可能にする。
Alibaba.com:売り手数8500万人。
amazon.com:サードパーティー売り手が200万人

<オンラインプラットフォームを用いて余分の収入を得る>
(1)airbnbの場合
72%=ニューヨーク市のホストであり、レントや住宅ローンの支払いのため、airbnbに依存する。
50%=ニューヨーク市のホストであり、フリーランスまたは伝統的職業で収入を得るが、airbnbで追加収入を得る。
80-90%=全世界のホストは、時たま自宅を貸し、追加収入を得る。

(2)Etsyの場合
82%=パートタイムの売り手(つまり、他に職を持つ)
26%=フルタイムの職を持つ。48%は独立またはパートタイムまたは一時雇用。
36%=Etsyでの収入を家事支出に用いる。24%は任意支出。

(3) Uberの場合
74%=他の収入が不安定なので、Uberの収入がメイン。
61%=他の職を持つ。31%はフルタイム。30%はパートタイム。。38%は他の職なし。

全米の平均所得は51,900ドルだが、Thunbtackのプロだと8000ドルの収入、airbnbだとホストは7700ドルの収入、ebayの売り手だと3000ドルの収入、 Etsyの売り手だと1400ドルの収入。

onlineの仕事だと、フレキシビリティを実現できる。
Etsyの場合:55%は、自分や家族の店舗を柔軟に設立できるのが魅力。
Uberの場合:87%は、自分が主人になり、自分が好きなようにスケジュールを組めるのが魅力。

オンラインワーカーの25%は複数のプラットフォームで仕事をしている。

<オンラインプラットフォームと市場の利害得失>
利点
*従来はできなかった選択やアクセスができる。
*時間節約になる。
*透明性がある。
*商品やサービスに対して評価がはっきりする。
*追加的な所得を得られる。
*フレキシビリティがある。
*必要とされるサービスにスキルをマッチできる。
*フィードバックができる。
*データが得られるのでより効率的な供給ができる。
*細分化されていた需要を集計できる。
*成長が期待される。

克服すべき点
*即時配達にはコストがかかる。
*商品の質を事前評価できない。レヴューなどが必要。
*信頼を確立する必要がある。
*伝統的業者に対するマイナスの影響。
*所得を予測しがたい。
*不確実性がある。
*訓練が十分でない。

<オンラインプラットフォームと市場は、規制の在り方を変える>
労働者と消費者が真ん中にいるが、これを囲んで、「伝統的業者」と「革新的業者」があり、「規制」の問題が発生する。
労働者と消費者は、モバイルデバイスとソーシャルメディアを手にした。これによって、レイティングやフィードバックができる。この結果、革新的業者に向かっての動きが生じる。
革新的なオンラインプラットフォームとビジネスモデルは、伝統的業者、規制者、政策担当者、弁護士などの注意をひきつつある。
すでに、いくつかの裁判の結果がある。
*Airbnbのホストに課された2400ドルの罰金を覆した。
*シェアリングエコノミーが欧州諸国でガイドラインを徐々に変えている。
*Uberは、フロリダ州での保険の条件を満たしている。
(Uberのリフトドライバー問題に関連して、)カリフォルニア州では、雇用と業務契約の違いがあるが、この分類は時代遅れだ。
Uberのリフトドライバー(タクシー運転手でなく、自分の車に客を乗せるドライバー)は、雇用と業務契約という従来の2分法では捉えられない。第3のカテゴリーと見なされるべきだ。
雇用と業務契約というカリフォルニアの従来の2分法は20世紀型のものであり、21世紀には時代遅れだ。
(Airbnbに関連して)100年も前に作られた法律には、人々のための法律とビジネスのための法律がある。しかし、「人々がビジネスになってしまったら、どうするのか?」
法律は突然時代遅れになった。これらは20世紀のものであり、21世紀のものではない。
(StubHubに関して)1920年代に作られた「ダフ屋禁止法」は、消費者保護のためのもの。
その目的は、チケットブローカーが高値で売ることを禁止し、大衆が収奪されるのを防ぐこと。StubHubが2000年に設立されたとき、この法律との関係で問題が起きた。いくつかの州では、チケットの再販売はできなかった。
しかし、2015年、StubHubは多くの州で合法になった。市場の流動性があれば、暴利的な高値は付けられず、収奪はできない。
レイティングやフィードバックがあれば、悪徳業者は淘汰される。
時間と共に、そして強力によって、StubHubは、規制者が本当に行なうべきは何かを明らかにした。

<まとめ>
就職市場で職を見つけることは、多くの人にとってより困難になりつつある。
雇用者から提供される健康保険や退職年金のような従来型の便益は減りつつある。それに代わって、政府が提供する福祉施策の受給者が増えている。
Millennials(ミレニアルズ:アメリカで2000年前後以降に成人を迎えた世代)は、従来の世代とは異なる期待を持っている。
connectivity(連結性)が効率を生み出し、多くの人にとっての仕事を変えている。いままでにはなかった労働形態(フリーランシングを含む)が増えている。需要が増えると、こうした労働への競争も増えるだろう。
オンラインプラットフォームと市場は、急速に成長する。個人の新しい仕事の機会とチャレンジは増え続けるだろう。
政策と法の新しい方向を見出す必要がある。関係者(労働者、ビジネス、政府)は、協力して、ビジネスの方法と就業機会の創出に努める必要がある。その際、新しい技術と市場が、消費者と労働者の福祉を増大させることに注意する必要がある。
革新的なオンラインプラットフォームと市場が消費者に便益を与える。これは、そうした製品やサービスに対する需要が強いことを見れば明らかだ。
ソーシャルメディア(プラス、フィードバックとレイティング)の重要性は過小評価されてはならない。これによって力を与えられた消費者は、消費者保護を自ら実現できる。

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