ビットコインに対する金融機関の関心が高まる

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ビットコインに対する金融機関の関心が高まる

以下は、ニューヨークタイムズ(2015年8月28日)に掲載されたNATHANIEL POPPERAUG、Bitcoin Technology Piques Interest on Wall St.(ビットコイン技術は、ウオールストリートの利益を傷つける)の概要である(原文そのものの翻訳ではなく、かなり編集してある)。

<ビットコインに対する銀行の認識が1年前と大きく変わった>
ビットコインの基礎となった技術革新は、いま、金融業界、音楽業界、ジャーナリズムを含むいくつかの産業にとって、潜在的に巨大な破壊力と見られている。ウォールストリートほど多額の資金と資源を技術に費すところはない。しかし、まさにその産業をビットコインが破壊するのだ。
金融機関が最初にビットコインに関心を持ったのは、2013年の末。しかし、仮想通貨の投機的な側面を重視したため、反応はネガティブだった。
JPモルガン・チェースのある幹部は言う。一年前には、ビットコインはアイデアに過ぎなかった。今、それは本当の機会だ。それをテストすれば、それがわれわれ自身のインフラの将来の進化において大きな役割を果たすことを理解できる。
2013年にビットコインが大衆の前に急に現れたとき、JPモルガンのチーフエグゼクティブ、ジェームズ・ダイモンを含む銀行の幹部たちは、オランダのチューリップ球根マニアのようなものだとして嘲笑した。その時に比べると、大きな変化だ。
最近では、ゴールドマン・サックス 、 サンタンデール、BBVAなどが、ビットコインの技術に取り組む外部の新興企業に投資した。これらのうちのいくつかは、大手銀行の元従業員によって始められたものだ。

<オンライン購入のための手段でなく、背後のソフトウエアが重要>
その当時、デルやオーバーストックは、オンライン購入のためにビットコインを取り扱うと発表した。しかし、これに関心を示した消費者は少なく、その後のビットコイン騒動で下火になった。
ビットコインは、オンライン購入のために使用するデジタルトークンだけではない。
金融業界のトップは、いまやつぎのように認識している。つまり、仮想通貨をもたらしたソフトウェアは、オンライン記録を取引し、維持するための根本的に新しい方法を与える。それにより、高価な仲買人に頼らずに、直接にお金と株式や債券などの資産を交換することができるようになる。
現在ビットコインに取り組んでいる機関は、ビットコインでの商品販売やビットコインの保有そのものには興味はない。そうではなく、ほぼ無料で瞬時にビットコインを世界中で移動できるネットワークやソフトウェアに興味をもっている。
これまであったPayPalやビザのような手段は、なんらかの中央機関が、お金を移動し、両側の記録を更新してきた。
他方、ビットコインネットワークは、ユーザーの分散ネットワークによって、ユーザーまたは企業の管理なしで、共同して取引を追跡し、リアルタイムでレコードを更新する、すべての取引は、誰にも表示されるブロックチェインという公開台帳に表示される。これを改ざんすることは不可能だ。
銀行や他の組織で行われている実験作業の多くは、ブロックチェイン技術をビットコインとは独立に使用できるかどうかを調べている。

<印税配布や記録保持手段としても利用>
音楽関係のいくつかのベンチャー企業は、音楽のダウンロードを追跡し、中央の記録保管者に依存することなく、アーティストに印税を配布するためにブロックチェインの技術を応用することを目指している。
バーモント州の州政府は、ブロックチェインを記録保持の法的方法として使用する方法についての調査を6月に委託した。 アメリカ以外の多くの地方政府がこのような方法を調査中。

<ナスダックのプロジェクト>
ある作業が、ナスダックOMXグループなどの金融会社によって行われている。この計画は、今年中に公開される予定。
ナスダックのソフトウェアによれば、新しいブロックチェインを用いて、新興企業のような民間企業に株式の取引ができる。現在のシステムだと、非公開会社が株式を発行し、それを取引するには、紙の証明書が必要で、数週間かかる。
また、ナスダックはブロックチェインのような元帳を用いて、より速く、より安く取引を行うための実験を行なっている。
ナスダックの最高経営責任者(CEO)ロバート・グライフェルドは言う。「ブロックチェイン技術は、より高い透明性とセキュリティを提供しながら、資本市場をより効率的に動作できるようにする。これらすべては、公共の利益に資する」

<シティグループやバークレイズの実験>
イギリスの世界的な銀行バークレイズは、ビットコインの基礎となる技術が金融産業を変える可能性について約20の実験を行なっている。この技術は、未来を作るための基礎になる。
活動のほとんどは舞台裏で起こっている。バンク・オブ・アメリカのマンハッタンのオフィスで 4月に開催された会合で、大手銀行の幹部はビットコインの基礎となる技術を用いて外国為替取引ー世界で最大の金融マーケットーを変革するための方法について話し合った。
連邦準備制度理事会やイングランド銀行のような中央銀行は、この技術を調査するためのチームを持っている。
銀行は、自分の従業員が内部で行なっている仕事については、あまり公表していない。例えばシティグループには、ブロックチェイン技術を生かしたソフトウェアを構築するための6つの社内実験がある。 一つの実験では、銀行は独自の仮想通貨Citicoinを作った。
ナスダックのプロジェクトを別として、最初の現実世界での使用がどこでなされるかについて、多くの議論がある。 バークレイズが行っている20の内部の実験のいくつかでは、クレジットカードや 直接送金と競合し、送金をスピードアップし、消費者の支払いのコストを下げるためにブロックチェインを使用する方法を実験している。

<金融資産取引の革新>
しかし、銀行が言うには、目的は、ウォール街のトレーダーや投資家が、シンジケートローンや社債などの洗練された資産を購入し、販売するために使用するシステムを変更することだ。
この分野の技術革新は、複数の銀行の協力を必要とするため、銀行は協力して一緒に仕事ができる方法を議論するための合同会議に参加している。これらの会議は、ソフトウェアを提供する外部の新興企業が開催する。
これらの会合の中で最も先進的なものの一つは、かつてのウォールストリートの幹部、デビッド・E.ラターが主導するR3Cevというスタートアップがコーディネートしている。 R3Cevは、銀行が共同で維持するブロックチェインを用いて外貨取引を行う方法を示している。バンク・オブ・アメリカが4月に開催した会議を招集したのもR3Cevだった。これには、15の金融機関から75以上の人々が参加した。
これは一部の人たちだけのビジネスのように見える。しかし、これらの市場では巨額の資金が毎日取引されている。そして、これらの市場は金融機関の収益に大きな影響を与える。 外国為替市場では、毎日 3兆ドル以上の取引がある。
多くの金融機関にとって、問題は、この技術を使用するようになるかどうか、ではない。いつ使用するようになるかだ。数年かかるという人もいるが、来年にも使われるだろうと期待する人もいる。

<銀行が出てくるのをどう評価するか?>
初期のビットコインの信奉者は、ビットコインによって、銀行に依存せずマネーを移動し、保有することができると考えた。こうした人は、銀行がこの技術を使うのを見て失望するだろう。
金融業界の人々の多くは、 ビットコインのブロックチェインを使用せずに、彼らが自らのブロックチェインを使用する方法を見つけることを望んでいる。
銀行家は、これがどのようにして実現するかについては意見が異なるが、それが起こるかどうかについては、意見の相違はない。 ゴールドマンサックスは、最近のポッドキャストの中で、 「ビットコインの背後にあるブロックチェイン技術は、どんな資産についても甚大な意味合いがある」「ブロックチェイン技術は、資産所有権に関する我々の考え方を確実に変える」と述べている。

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